ばしょ

20歳のころオーストラリアに行きました。何もない自分が嫌で、何かになれと思い立ってのことでした。オーストラリアまで行って日本人の女の子に恋をして普通にふられたり、朝焼けのエアーズロックを見たり、ジャパニーズレストランで働いたりしました。結局何にもなりませんでした。

傑作選第II弾としての『ばしょ』は、再演にあたり設定だけはそのままで新作同然に書き換え、広大なオーストラリアでの人種間の喪失とその中にある小さな小さな日本人コミュニティー内で起こった喪失をリンクさせました。

 

ー「ハーイ チェッスメ キャナバスプー?」

え?なんて?

「キャナバスプー?」

やばい、この人めっちゃ目をあわせてくる。

高速でレジを打つ聡子さんが

「スプーンあげて」と目も上げずに言った。

スプーンを渡すと彼はニコリと笑った。

スプーンちょうだいも聞き取れないのか、

わたし。

ランチタイムの長蛇の列は店の出口まで続いている。ー


あらすじ

オーストラリアの隅っこの街パース。

閉店後のレストランで日本に帰国する従業員のささやかなお別れ会が開かれる。

酔っ払ったりケンカしたりしながら、失踪してしまった女の子のことを思い出す浩介。

ジャパーニーズレストランとエアーズロックをめぐるお話。

 

 

 

新宿眼科画廊スペース地下

2019920日(金)〜24日(火)

 

出演

浅井裕子

池内 風(かわいいコンビニ店員飯田さん)

田久保柚香

田島実紘(劇団スポーツ)

東澤有香(キコ/qui-co.)

藤田りんご(Pityman)

 

スタッフ 

脚本・演出    山下 由(Pityman) 

照明       千田実(CHIDA OFFICE)

音響       ナガセナイフ(音ノ屋)

美術アドバイザー 濱崎賢二

イラスト     鈴木愛美

宣伝美術     藤田愛

写真撮影     大口葉

映像撮影     植田雄太

当日運営     タナカサワキ(Pityman)

製作助手     長野功(PItyman)

 

協力

(株)大沢事務所

石井光三オフィス

かわいいコンビニ店員飯田さん

キコ/qui-co.

劇団スポーツ

CHIDA OFFICE

株式会社 音ノ屋

六尺堂

十色庵

新宿眼科画廊

作者  山下 由が20代のころ滞在した

オーストラリアでの出来事を振り返る

特別連載

『水着はないけど、スカボロービーチ』