『ばしょ』

山下が20代初めのころ滞在していたオーストラリアでの体験をもとに書かれた作品です。

オーストラリアはどこまでも続く青空、エメラルドグリーンのさざ波、真っ赤に染まるエアーズロックと野生動物、美しい街並み、と日本とはまるで違う所でした。

そんなオーストラリアには沢山の日本人たちが暮らしていました。移住したひとや、永住権を求めて働くひと、観光で訪れたひと、何がしたいかわからないけどとにかくやってきた人。

そこには自分の居場所がわからないひと達が沢山いる反面、自分の居場所ではないからこそ、そこにいられるという人たちも沢山いました。

そこにいてもいい、いたい場所。いたいけどいられない場所。

場所とは国のことなのか?どこかのことなのか、誰かのことなのか。私の場所はどこなのか。そんなことを考えながら書きました。       

 

 




ー左足の小指が隣の薬指に寄り添うためにへこんでる。

 

薬指側が。

 

多分私はそういう風にへこんでる。

 

あなたの形に。

 

だからあなたから離れたら、


ただの醜い奇妙な形の小さな指でしかなくなる。

 

何の役にもたちゃしない。ー


あらすじ

オーストラリアに移住した日本人たちのコミニュティーから1人の少女「こはる」が失踪した。

行方を捜す兄の「こうすけ」。

彼女を最後に見たという3人によって語られるその姿は三者三様バラバラで食い違っていた。

彼女はどこに行ったのか誰にもわからない。

秘められた本当と少女のゆくえ。

自分の生まれ故郷から遠く離れた土地で暮らす日本人たちの「場所」を巡る物語。

 

pit北/区域

2014年2月11日(火)~16日(日)

 

出演

板倉光隆((株)大沢事務所)

真寿美

大和田 梓

藤田りんご

水谷友香梨

長野 功(Pityman)

 

スタッフ

作・演出  山下 由

音響         広瀬正人(ピストンズ)

照明         点の助(near ピストンズ)

照明操作    敷浪まき子

イラスト  鈴木愛美

舞台監督    神田眞樹

演出助手    水谷友香梨

表兼管理  堀内 淳

制作            田口遥佳

 

協力

(株)大沢事務所 演劇集団 砂地 ピストンズ 祭文庫 サブテレニアン